マレーシア留学 やめとけ
「マレーシア留学はやめとけ」は本当か|5つの批判をデータで検証
最終更新日:2026-08-07
「マレーシア留学 やめとけ」という検索が月300件以上あります。これは無視すべきノイズではなく、検討前に確認すべき情報です。ただし感情的な意見だけでは「自分にも当てはまるのか」が判断できません。この記事では、よく挙がる5つの批判を1つずつ検証し、事実として受け入れるべきものと、学校選びや設計で回避できるものを分けて整理します。
批判1「英語がなまっている」— 事実。ただし目的による
最も多い批判がこれで、事実として正しい指摘です。
マレーシアは英語が広く通じますが、英語ネイティブの国ではありません。マレー語・中国語・タミル語が併存する多民族国家であり、日常の英語には各言語の影響を受けた独特の言い回しがあります。俗にManglish(マングリッシュ)と呼ばれ、文末の「lah」や簡略化された文法などの特徴があります。
さらに踏み込んだ批判として、「マレー語・中国語・英語を混ぜて話す習慣がつき、どれも中途半端になる」という指摘もあります。多言語環境の裏返しであり、一定の説得力があります。
【結論】「ネイティブの発音・表現を身につけたい」という目的なら、マレーシアは適していません。この批判は受け入れるべきです。
【ただし】語学学校や大学の授業は標準的な英語で行われます。また、実際の国際ビジネスで使われる英語は、ネイティブ同士より非ネイティブ同士のコミュニケーションであることのほうが多いのが実情です。「英語で仕事を回す実践力」が目的なら、この批判は当てはまりません。目的の設定次第で、同じ事実が欠点にも利点にもなります。
批判2「治安が悪い」— データ上は悪化傾向
2つ目は治安です。感覚論ではなく統計で確認します。
マレーシア統計局(DOSM)のデータでは、2024年の指標犯罪は前年比11.1%増となっており、犯罪率は悪化傾向にあります。特に詐欺被害は2024年に過去最高を記録しています。日本と比較すると、強盗の発生率は日本の10倍前後という指摘もあります。
一方で、東南アジアの他国と比較した場合、マレーシアの治安は相対的に良好とされる部類です。また、犯罪の中心は詐欺・窃盗・ひったくりといった財産犯であり、外国人が凶悪犯罪の標的になる頻度は高くありません。
実務上、日本人留学生が実際に遭遇しやすいのは、①スマートフォンや財布のひったくり、②SNS・投資詐欺、③タクシーやレンタルでのぼったくり、そして④交通事故です。特に④は見落とされがちですが、統計上は最大のリスクです。
【結論】「日本と同じ感覚では危ない」は事実です。ただし回避可能な性質のリスクが中心です。深夜の単独外出を避ける、貴重品を見せない、配車アプリを使う、道路横断に注意するという基本を守れば、リスクは大きく下げられます。渡航前に外務省の海外安全ホームページで最新情報を確認してください。
批判3「アルバイトができない」— 事実。資金計画に直結
3つ目は見落とされやすく、かつ資金計画に直接効く論点です。
学生パスでのアルバイトには厳しい制限があります。長期休暇期間中に週20時間までといった条件が課されており、日本の留学生アルバイトのような感覚では働けません。就労を前提とした資金計画は成立しないと考えてください。
これは欧米やオーストラリアへの留学と比較したときの明確な弱点です。ワーキングホリデー制度のように、就労で滞在費を賄う設計はマレーシアでは使えません。
【結論】この批判は事実で、回避方法はありません。留学費用は全額を自己資金または奨学金で賄う前提で計画してください。語学留学なら1か月22万〜42万円、大学留学なら年160万〜330万円という水準を、就労収入なしで確保する必要があります。
【対策】奨学金(日本学生支援機構、自治体、大学独自)を出願前に調べてください。また、期間を短くして単価を下げるのではなく、一括申込の割引や滞在形態の見直しで総額を下げるほうが効果的です。
批判4「卒業後にマレーシアで働けない」— 制度上のハードルは高い
4つ目は、留学を現地就職につなげたい人にとって重要な論点です。
学生パスは就学期間に連動する在留資格です。卒業すると失効するため、マレーシアで働き続けるにはEmployment Pass(EP)など別の在留資格への切り替えが必要になります。学生パスから自動的に就労資格に移行する仕組みはありません。
そしてEPのハードルが上がりました。2026年6月1日以降に提出される申請から、カテゴリーIIIの下限が月給RM3,000からRM5,000に引き上げられています。判定は基本給のみで、手当や賞与は算入されません。加えてカテゴリーII・IIIでは雇用主による承継計画の提出が必須化されました。
新卒でいきなり基本給RM5,000のオファーを得るのは容易ではありません。参考として、マレーシア全体の平均月給はRM3,652、中央値はRM2,793(統計局2024年調査)です。RM5,000は現地中央値の1.8倍にあたります。
【結論】「留学して現地で就職」というルートは、以前より確実に難しくなっています。この批判は現状を正しく反映しています。
【対策】現地就職を目指すなら、在学中から専門性(IT、会計、エンジニアリングなど)を作り、日本語だけを売りにしないことです。また、マレーシアにこだわらず、シンガポールや日本の外資系という選択肢も並行して検討してください。
批判5「思ったより高い」— 円安で事実化した
5つ目は費用です。これは数年前と現在で状況が変わった論点です。
マレーシア留学は「安い」と紹介されてきましたが、その根拠となる円換算額の多くは、1リンギット=30円前後だった時期の試算です。2026年8月時点のレートは1リンギット=約39円。同じリンギット額でも、円換算では3割ほど高くなっています。
たとえば年RM53,280の大学学費は、1リンギット=30円なら約160万円ですが、39円では約208万円です。同じ学費で50万円近い差が出ます。
さらに、インターナショナルスクールでは2025年7月1日以降、年間RM60,000を超える学費部分に6%のサービス税が課されるようになりました。学校の提示額は税別が一般的で、入学金・制服・スクールバス・課外活動費を含めた実負担は表示学費の1.2〜1.4倍になります。
【結論】「数年前の情報を見て安いと思ったが、実際は違った」というギャップは実際に起きています。この批判は事実です。
【対策】リンギット建ての金額を確認し、最新レートで自分で換算してください。日本語の記事に載っている円換算額をそのまま信じないことです。
| 項目 | リンギット建て | 1RM=30円 | 1RM=39円 | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| 大学学費(年) | RM53,280 | 約160万円 | 約208万円 | 約48万円 |
| インター校(ミドル帯・年) | RM50,000 | 約150万円 | 約195万円 | 約45万円 |
| 学生寮(月) | RM1,250 | 約3.8万円 | 約4.9万円 | 約1.1万円 |
| 生活費(月・学生) | RM3,000 | 約9万円 | 約11.7万円 | 約2.7万円 |
まとめ:やめるべき人・行くべき人
5つの批判を検証した結果を整理します。事実として受け入れるべきものが3つ、目的次第で評価が変わるものが2つでした。
受け入れるべき事実は、①アルバイトで滞在費を賄えないこと、②卒業後の現地就職のハードルが上がっていること、③円安により円換算での費用が数年前より3割ほど高いことです。これらは回避できません。
目的次第で評価が変わるのは、①英語環境(ネイティブ英語志向なら不適、実践的コミュニケーション志向なら有効)、②治安(日本と同じ感覚は危険だが、基本の対策で大きく下げられる)です。
したがって「やめるべき」なのは、ネイティブの発音習得が主目的の人、アルバイトで費用を賄う前提の人、卒業後の現地就職を確実視している人、そして数年前の円換算額で予算を組んでいる人です。
逆に「行くべき」なのは、多国籍環境での実践的な英語力を求める人、費用を全額自己資金で用意できる人、そしてマレーシア移住や現地の生活を体験する目的を兼ねている人です。特に最後のケースでは、90日以内ならビザ不要という手軽さが大きな利点になります。
「やめとけ」という声の多くは、目的とマレーシアの特性がズレた結果です。自分の目的を先に明確にすれば、判断は自ずと決まります。
出典
よくある質問
マレーシア留学は本当にやめたほうがよいですか?
目的次第です。ネイティブの発音・表現の習得が主目的、アルバイトで費用を賄う前提、卒業後の現地就職を確実視している場合は適していません。一方、多国籍環境での実践的な英語力を求める、費用を全額自己資金で用意できる、移住の下見を兼ねたい場合は有力な選択肢です。
マレーシアの治安は実際どうですか?
マレーシア統計局のデータでは2024年の指標犯罪が前年比11.1%増で、悪化傾向にあります。詐欺被害は2024年に過去最高を記録しました。ただし犯罪の中心は詐欺・窃盗・ひったくりといった財産犯で、深夜の単独外出を避ける、貴重品を見せない、配車アプリを使うといった基本対策でリスクは大きく下げられます。統計上の最大のリスクは実は交通事故です。
マレーシア留学中にアルバイトはできますか?
厳しい制限があります。学生パスでは長期休暇期間中に週20時間までといった条件が課されており、就労で滞在費を賄う設計は成立しません。留学費用は全額を自己資金または奨学金で確保する前提で計画してください。
留学後にマレーシアで就職できますか?
ハードルは高くなっています。学生パスは就学期間に連動するため、卒業後はEmployment Pass(EP)への切り替えが必要です。2026年6月以降、EPカテゴリーIIIの下限が月給RM5,000(基本給のみで判定)に引き上げられました。マレーシアの給与中央値RM2,793の1.8倍にあたり、新卒でこの水準のオファーを得るのは容易ではありません。
マレーシア英語(Manglish)は問題になりますか?
目的によります。日常の英語にはマレー語・中国語の影響を受けた独特の言い回しがあり、ネイティブの発音・表現を身につけたい場合は適していません。ただし語学学校や大学の授業は標準的な英語で行われます。非ネイティブ同士の実践的なコミュニケーション力を求める場合は、むしろ実務に近い環境といえます。
「安い」という情報は今も正しいですか?
円換算額は更新が必要です。多くの記事は1リンギット=30円前後の時期の試算で、2026年8月時点のレートは約39円です。同じリンギット額でも円換算では3割ほど高くなっています。またインター校では2025年7月以降、年RM60,000超の学費部分に6%のサービス税が加わりました。リンギット建ての金額を確認し、最新レートで換算してください。
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