マレーシア ノマドビザ
マレーシアのノマドビザ(DE Rantau)|条件・申請手順と2年後の出口
最終更新日:2026-08-07
DE Rantau(デ・ランタウ)は、マレーシアの4つの長期滞在ルートの中で最も条件のハードルが低い制度です。資産要件がなく、雇用主のスポンサーも不要で、本人がオンラインで申請できます。一方で最長24か月という明確な期限があり、これが最大の制約です。この記事では条件と申請手順を押さえたうえで、多くの解説記事が触れない「2年後にどうするか」まで踏み込みます。
DE Rantauとは:MDECが運営するデジタルノマド向け制度
DE Rantauは、マレーシアデジタル経済公社(MDEC)が運営するデジタルノマド向けの滞在プログラムです。マレーシアをデジタルノマドのハブにすることを目的に導入されました。
他の長期滞在ビザとの決定的な違いは、雇用主のスポンサーも資産要件も不要な点です。Employment Passは雇用主が申請し、MM2Hは数千万円規模の資金拘束を伴い、学生パスは教育機関のスポンサーが必要です。DE Rantauは、海外からの収入があれば本人がオンラインで申請できます。
有効期間は3〜12か月で、1回更新して最長24か月。マルチプルエントリー(何度でも出入国可能)で、配偶者と子の帯同も認められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所管 | MDEC(マレーシアデジタル経済公社) |
| 収入要件 | 年収USD24,000以上(IT・デジタル職)/USD60,000以上(非テック職) |
| 実務経験 | デジタル分野で3年以上 |
| 収入の出どころ | マレーシア国外の企業・クライアントに限る |
| 有効期間 | 3〜12か月(1回更新で最長24か月) |
| 入国回数 | マルチプルエントリー |
| 家族帯同 | 可(配偶者・子) |
| 申請方法 | MDECポータルからオンライン(本人申請) |
| 処理期間 | 6〜8週間程度 |
条件の要点:金額より「収入の出どころ」が審査される
収入要件は、IT・デジタル職なら年収USD24,000以上、それ以外の職種なら年収USD60,000以上です。USD24,000は月額に直すとUSD2,000、円換算でおおむね月30万円前後(為替による)で、決して高いハードルではありません。
ただし、審査で実質的に見られるのは金額そのものより収入の出どころです。収入がマレーシア国外の企業・クライアントからのものであることが求められ、マレーシア国内企業からの収入は認められません。
申請書類では、契約書や送金履歴によって「海外からの収入である」ことを明確に示す必要があります。日本の会社に雇用されているリモートワーカー、日本のクライアントを持つフリーランス、海外企業と契約している個人事業主が典型的な対象です。
対象職種として想定されているのは、ソフトウェア開発、UX/UIデザイン、デジタルマーケティング、コンテンツ制作、データサイエンス、クラウド関連などのデジタル職です。非テック職でも申請は可能ですが、収入要件がUSD60,000に上がります。
あわせて、デジタル分野での実務経験3年以上が求められます。職務経歴書で、この期間と業務内容を示せるようにしておいてください。
申請手順:MDECポータルから本人が申請する
申請はMDECのポータル(デランタウ・ナデパルス)からオンラインで行います。雇用主や代理店を通す必要はありません。
準備する書類は、パスポート、証明写真、履歴書または職務経歴書、収入を証明する書類(雇用契約書、業務委託契約書、直近数か月の銀行取引明細や送金履歴)、そして必要に応じて学位・資格の証明です。家族を帯同する場合は、婚姻証明書と出生証明書(英文または英訳)が必要になります。
処理期間は6〜8週間程度とされています。この期間を見込んで渡航スケジュールを組んでください。承認後は、パスポートへのビザ貼付の手続きを行います。
申請上の注意点として、収入証明の一貫性が重要です。契約書に記載された金額と、実際の入金額・入金頻度が整合していないと追加説明を求められます。フリーランスで収入が月ごとに変動する場合は、年間の合計が要件を満たすことを示せる資料を用意してください。
- パスポート(残存期間に余裕のあるもの)
- 証明写真
- 履歴書/職務経歴書(デジタル分野3年以上の経験を示す)
- 収入証明(雇用契約書または業務委託契約書)
- 銀行取引明細・送金履歴(海外からの入金であることを示す)
- 学位・資格証明(必要に応じて)
- 家族帯同時:婚姻証明書、出生証明書(英文または英訳)
税務の扱い:182日ルールと免税措置を分けて理解する
DE Rantauで最も誤解されやすいのが税務です。2つの別々の論点を切り分けて理解してください。
第一に、マレーシアの税務居住者判定です。暦年で182日以上マレーシアに滞在すると税務上の居住者になります。居住者は累進課税(課税所得RM5,000までは0%)と各種控除が適用されますが、182日未満だと非居住者としてマレーシア源泉所得に一律30%が課されます。
第二に、外国源泉所得の扱いです。DE Rantau保有者がマレーシアで受け取る外国源泉所得については、期間限定の免税措置が設けられています。また居住者個人の外国源泉所得については、2024年の官報告示(P.U.(A) 451/2024)により2036年12月31日まで免税とされています(源泉地国で課税済みであることが条件)。
ここで重要なのは、これらの措置は変更されうるということです。免税措置には期限があり、条件も付されています。申請時点および毎年、最新の取り扱いを確認してください。
そして日本側です。日本の非居住者と認められるかは日本の税法で別途判断されます。住民票を残したまま、日本の会社に雇用されたまま長期滞在すると、日本側の課税が続く可能性が高くなります。DE Rantauの取得と日本側の税務処理はセットで設計する必要があるため、渡航前に税理士へ相談してください。
最大の制約:24か月後にどうするか
ここが多くの解説記事で触れられない、しかし実務上最も重要な論点です。
DE Rantauは3〜12か月の有効期間に対して更新が1回のみで、最長24か月です。つまり2年後には必ず別の在留資格に切り替えるか、マレーシアを離れる必要があります。「移住」の手段としては、そのままでは完結しません。
2年後の選択肢は現実的には4つです。第一に、Employment Passへの切り替え。マレーシア国内企業に就職する道ですが、2026年6月以降は基本給RM5,000以上(判定は基本給のみ)が必要です。DE Rantau期間中に現地で人脈を作り、内定を得ておくのが最も自然な流れです。
第二に、MM2Hへの切り替え。資産があれば可能ですが、シルバーで定期預金USD150,000に加えRM60万以上の物件購入義務があり、桁が変わります。
第三に、子供の教育を軸にした学生パス+ガーディアンパスへの移行。子供がいる場合の選択肢です。
第四に、マレーシアを離れて他国のノマドビザに移る、または日本に戻る道です。
実務的な結論として、DE Rantauは「移住」ではなく「2年間の試住期間」と位置づけるのが正確です。そして最も価値が高い使い方は、この2年間を次の資格を取るための準備期間として使うことです。現地に住みながら就職活動をする、教育移住の学校を実際に見て回る、住むエリアを試す。この目的なら、DE Rantauは非常に強力な制度です。
| 選択肢 | 主な条件 | 難易度 |
|---|---|---|
| Employment Passへ切替 | 基本給RM5,000以上のオファー(基本給のみで判定) | 中〜高 |
| MM2Hへ切替 | 定期預金USD150,000〜+物件購入義務 | 高(資金) |
| 学生+ガーディアンパスへ | 子の就学+スポンサー収入証明 | 中 |
| 他国へ移る/帰国 | — | 低 |
DE Rantauが向く人・向かない人
最後に判断軸を整理します。
向いているのは、①海外企業からの収入が安定している人、②マレーシア移住を検討していて、まず住んでみたい人、③2年以内に次の在留資格を取る計画がある人、④子供の教育移住を検討していて、学校を実際に見て決めたい人です。
特に②と④の「試住」目的での価値は高く、資産要件も雇用主のスポンサーも不要で家族帯同もできる制度は、他にありません。物件購入や学校選定といった後戻りしにくい判断を、実際に住んでから下せる意味は大きいものがあります。
向かないのは、①収入がマレーシア国内企業からの人(要件を満たしません)、②2年後の計画がないまま「とりあえず移住」したい人、③永住を前提に考えている人です。DE Rantauは永住権につながる制度ではありません。
2年という期限を制約と見るか、判断のための猶予と見るか。この捉え方の違いが、制度を活かせるかどうかを分けます。
2年後の出口設計を含めた検討は、無料相談で整理をお手伝いします。
出典
よくある質問
マレーシアのノマドビザ(DE Rantau)の条件は何ですか?
海外企業からの年収USD24,000以上(IT・デジタル職)またはUSD60,000以上(非テック職)、デジタル分野での実務経験3年以上が主な条件です。収入がマレーシア国外の企業・クライアントからのものであることが求められ、マレーシア国内企業からの収入は認められません。資産要件や雇用主のスポンサーは不要です。
DE Rantauは何年住めますか?
有効期間は3〜12か月で、1回更新して最長24か月です。2年後には別の在留資格(Employment Pass、MM2H、学生+ガーディアンパスなど)に切り替えるか、マレーシアを離れる必要があります。永住権にはつながりません。
DE Rantauで家族を連れて行けますか?
可能です。配偶者と子の帯同が認められています。申請時に婚姻証明書と出生証明書(英文または英訳)が必要になります。
DE Rantauの申請はどうやってしますか?
MDEC(マレーシアデジタル経済公社)のポータルから本人がオンラインで申請します。雇用主や代理店を通す必要はありません。パスポート、職務経歴書、収入証明(契約書・銀行取引明細・送金履歴)などを提出し、処理期間は6〜8週間程度です。
DE Rantauなら税金はかかりませんか?
単純ではありません。マレーシアでは暦年182日以上の滞在で税務居住者となり、182日未満だとマレーシア源泉所得に一律30%が課されます。外国源泉所得については期間限定の免税措置がありますが、条件と期限が付されており変更されうるため、申請時点で最新の取り扱いを確認してください。また日本側で非居住者と認められるかは日本の税法で別途判断されるため、渡航前に税理士へ相談することを推奨します。
DE Rantauでマレーシアの会社で働けますか?
できません。収入がマレーシア国外の企業・クライアントからのものであることが要件で、マレーシア国内企業からの収入は認められません。マレーシアの会社で働く場合はEmployment Passが必要です。
24か月が終わったらどうすればよいですか?
選択肢は4つです。①Employment Passへの切り替え(基本給RM5,000以上のオファーが必要)、②MM2Hへの切り替え(定期預金USD150,000〜と物件購入義務)、③子供の就学を軸に学生+ガーディアンパスへ移行、④他国へ移るか帰国。DE Rantauは「2年間の試住期間」と位置づけ、その間に次の資格を取る準備をするのが最も合理的な使い方です。
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