マレーシア移住 条件
マレーシア移住の条件|ビザ別の必要資産・年齢・収入を一覧比較
最終更新日:2026-08-07
「マレーシアに移住するには何が必要か」という問いへの答えは、制度上ははっきりしています。4つのビザのうち、どれか1つの条件を満たすことです。逆に言えば、年齢・資産・収入・家族構成という4つの変数で、あなたに取れるビザはほぼ自動的に決まります。この記事では、それぞれのビザの条件を横並びで比較し、条件を満たせない場合の現実的な代替案まで示します。
条件の全体像:4つのビザを横並びで比較する
最初に全体を俯瞰します。以下の表は、マレーシアの主要な長期滞在ビザの条件を、判断に必要な項目だけに絞って並べたものです。
この表を見るときのコツは、上から順に読むのではなく「自分が確実に満たせる行」を探すことです。複数該当する場合は、滞在年数の長さと就労可否で選びます。
| ビザ | 年齢 | 資産・収入の条件 | 滞在期間 | 家族帯同 | 就労 |
|---|---|---|---|---|---|
| 就労(EP) | 制限なし(実務上18歳以上) | 基本給 月RM5,000以上 | 最長5〜10年 | 可(配偶者・子) | 可(勤務先限定) |
| MM2H シルバー | 25歳以上 | 定期預金USD15万+物件RM60万以上 | 5年 | 可 | 不可 |
| MM2H SEZ | 21歳以上 | 定期預金USD3.2万〜6.5万+物件RM50万以上 | 10年 | 可 | 不可 |
| DE Rantau | 制限なし | 海外企業からの年収USD24,000以上 | 3〜12か月+1回更新 | 可 | 海外企業のみ |
| 学生パス+ガーディアン | 保護者は制限なし | 学費支弁能力+スポンサー収入証明 | 就学期間 | 保護者1名が原則 | 不可 |
就労ビザの条件:基準は2026年6月に上がった
働いて移住する場合の条件は、実質的に「月給いくらのオファーを取れるか」に集約されます。2026年6月1日以降に提出される新規・更新申請から、カテゴリーIIIの下限が月給RM3,000からRM5,000に引き上げられました。
この判定は基本給のみで行われます。住宅手当、交通手当、賞与、インセンティブはいずれも算入されません。オファーレターの提示額が「総支給RM5,500」でも、基本給がRM4,500なら基準を満たしません。オファーを受ける段階で、基本給がいくらかを必ず確認してください。
カテゴリーII(RM10,000〜19,999)とカテゴリーIII(RM5,000〜9,999)では、雇用主による承継計画の提出が必須化されました。これは「この外国人の職務を将来マレーシア人に引き継ぐ計画」を示す書類で、雇用主側の事務負担になります。中小企業ほど外国人採用に消極的になりやすい要因です。
職種としては、日本語人材(BPO・カスタマーサポート)、IT・エンジニア、日系企業の管理職・営業が中心です。ただし日本語人材の求人は給与水準がRM4,000〜6,000のレンジに集中していたため、新基準RM5,000は求人の一部を直撃しています。
- 判定は基本給のみ。手当・賞与は含まない
- カテゴリーIII(RM5,000〜9,999)が実質的な下限
- カテゴリーII・IIIは承継計画の提出が必須
- 雇用契約と勤務先に紐づくため、転職時は再申請が必要
MM2Hの条件:金額はUSD建て、物件購入は別枠
MM2Hの条件で最も間違えやすいのが2点あります。1つ目は通貨、2つ目は物件購入義務の位置づけです。
通貨について。連邦のMM2Hの定期預金はUSD建てです。シルバーでUSD150,000、ゴールドでUSD500,000、プラチナでUSD1,000,000。日本語の解説に残る「シルバーはRM50万」は、要件の異なるサラワク州の独自制度(S-MM2H)との混同です。円で資金を用意する場合、円→USDの為替と、物件購入時のリンギット建て支払いという2つの為替が絡むため、円換算の総額は契約時のレートに左右されます。
物件購入義務について。これはMM2Hの参加条件であり、州が外国人に課している最低購入価格とは別の規制です。連邦のプログラムは州の不動産規制を上書きしないため、両方が適用され、高いほうが実際の下限になります。クアラルンプールの外国人最低購入価格はRM100万なので、シルバー(義務RM60万)でKLに買う場合、実際にはRM100万以上の物件しか選べません。
年齢と滞在義務も確認してください。申請は25歳以上(SEZは21歳以上)。年間の最低滞在日数(半島マレーシアで暦年累計90日)が課されるのはおおむね25〜49歳で、50歳以上には最低滞在日数の定めが置かれていません。海外所得の証明要件は撤廃されていますが、60歳未満には医療保険の加入が求められます。
なお、申請はMOTACの免許を持つ会社を通じてのみ受け付けられ、個人での直接申請はできません。
教育ルートの条件:ガーディアンパスの収入要件に注意
子供の教育を目的とする移住では、子供が学生パス、保護者がガーディアンパスを取得する形が一般的です。日本人の母子移住はこの形態が多数を占めます。
条件面で見落とされやすいのが、ガーディアンパスの収入証明です。学校や申請時期によって、スポンサー(日本に残る配偶者であることが多い)の月収RM25,000以上の証明を求められる例があります。円換算で月98万円規模(1RM=39円)であり、想定より高い水準です。
また、ガーディアンパスは原則として保護者1名に対して発給されます。両親ともに帯同したい場合、もう一方は別途ビザを確保する必要があり、ここで計画が崩れるケースがあります。
学費も条件の一部と考えてください。インターナショナルスクールの年間学費は学校によってRM12,000〜145,000と10倍以上の幅があります。さらに、年間RM60,000を超える学費部分には6%のサービス税が課されます。学校選びは教育方針だけでなく、ビザの発給実績と総費用の両面で行う必要があります。
| 項目 | 確認すべき内容 |
|---|---|
| ガーディアンパス | その学校での発給実績、スポンサー収入証明の要否と金額 |
| 学費 | 年額(RM12,000〜145,000の幅)、RM60,000超部分の6%サービス税 |
| 入学要件 | 英語力テスト、面接、学年の読み替え |
| 保護者の人数 | 原則1名。両親帯同なら別ビザが必要 |
| 滞在期間 | 子供の就学期間に連動。卒業後の在留資格を別途検討 |
DE Rantauの条件:収入の「出どころ」が判定される
DE Rantau(デジタルノマドパス)は、条件のハードルが4つの中で最も低い制度です。年収USD24,000以上(IT・デジタル職以外の職種はUSD60,000以上)、デジタル分野での実務経験3年以上などが主な要件で、MDECのポータルからオンラインで申請します。処理期間は6〜8週間程度とされています。
注意すべきは金額ではなく収入の出どころです。収入がマレーシア国外の企業・クライアントからのものであることが求められ、マレーシア国内企業からの収入は認められません。申請書類では、契約書や送金履歴で「海外からの収入である」ことを明確に示す必要があります。
有効期間は3〜12か月で、1回更新して最長24か月。ここが最大の制約です。DE Rantauは「移住」というより「長期滞在のお試し期間」と捉えるのが正確で、2年で終わることを前提に、その間に就労・教育・MM2Hのいずれかへ乗り換える計画を立てておく必要があります。
なお、DE Rantauの保有者がマレーシアで受け取る外国源泉所得は、期間限定の措置として所得税が免除される扱いが設けられています。税務上の取り扱いは変更されうるため、申請時点の最新情報を確認してください。
条件を満たせない場合の現実的な代替案
4つのどれにも該当しない場合、選択肢は限られますが、ゼロではありません。
第一に、条件を「満たしにいく」道です。最も現実的なのは就労ビザで、月給RM5,000以上のオファーを取れる専門性を作ることです。マレーシアで需要が続いているのは、日本語+業務スキル(経理・IT・営業)の組み合わせです。日本語のみを売りにした職種は、給与基準の引き上げで枠が縮んでいます。
第二に、DE Rantauで2年間の滞在を確保し、その間に現地で就職先を探す道です。現地にいることは採用面で有利に働きます。ただし2年で結論を出す必要があり、退路の設計は必須です。
第三に、そもそも「移住」ではなく「長期滞在の反復」に切り替える道です。ビザなし90日を年に1〜2回、日本の生活基盤を維持したまま使う形です。居住ではないため賃貸や口座で制約はありますが、資産要件も収入要件もありません。マレーシアで冬を過ごすという使い方であれば、これで足りる場合もあります。
どの道を選ぶにせよ、条件は制度改定で動きます。特に就労ビザの給与基準は近年引き上げが続いているため、検討開始から渡航まで時間が空くほど、前提が変わるリスクがあります。
出典
よくある質問
マレーシア移住に年齢制限はありますか?
ビザによります。MM2Hは25歳以上(SEZ階層は21歳以上)が条件です。就労ビザ(EP)とDE Rantauには明確な年齢上限はありません。なお、MM2Hの年間最低滞在日数(半島マレーシアで暦年累計90日)が課されるのはおおむね25〜49歳で、50歳以上には最低滞在日数の定めが置かれていません。
貯金がいくらあれば移住できますか?
ビザによって桁が変わります。就労ビザなら勤務先が決まれば資産要件はなく、渡航初期費用として90万〜160万円程度が目安です。MM2Hはシルバーで定期預金USD150,000に加えRM60万以上の物件購入義務があるため、円換算で数千万円規模になります。DE Rantauは資産ではなく年収USD24,000以上が条件です。
無職・無収入でも移住できますか?
資産があればMM2Hが該当します。MM2Hは海外所得の証明要件が撤廃されており、定期預金と物件購入の条件を満たせば収入がなくても申請可能です。ただし60歳未満には医療保険の加入が求められます。資産も収入もない場合、現時点で長期居住の道はほぼありません。
家族全員で移住できますか?
就労ビザ(EP)とMM2Hは配偶者・子を扶養家族として帯同できます。MM2Hの扶養範囲は配偶者、就労していない34歳までの未婚の子、障害のある子、双方の親までと比較的広く設定されています。一方、教育ルートのガーディアンパスは原則として保護者1名への発給のため、両親ともに帯同する場合はもう一方が別のビザを確保する必要があります。
英語ができないと移住条件を満たせませんか?
ビザの条件として語学要件は課されていません。ただし就労ビザは雇用が前提のため、実務上は業務に必要な英語力が求められます。教育ルートでは子供の入学時に英語力テストがある学校が多く、これは条件に直結します。MM2HとDE Rantauには語学要件はありません。
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