マレーシア ビザなし 滞在期間
マレーシアのビザなし滞在期間は90日|MDAC・延長・ビザランの注意点
最終更新日:2026-10-08
執筆:Yuto Nishitani(ラブアン法人代表・クアラルンプール在住)
「マレーシアにはビザなしで何日いられるのか」。答えは、日本国籍者なら観光・商用目的で最大90日です。ただし、この90日には条件と限界があります。入国前のオンライン登録(MDAC)を忘れれば空港で手間取り、延長は原則できず、1日でも超えれば罰金の対象です。そして、出国と再入国を繰り返して実質的に住み続ける「ビザラン」は、マレーシア当局が取り締まりを強めている領域でもあります。この記事では、ビザなし滞在のルールを入国から出国まで順に確認し、90日では足りない人がどのビザに進むべきかまで解説します。
結論:日本人はビザなしで最大90日。ただし「住む」資格ではない
日本とマレーシアの間には査証免除の取決めがあり、日本国籍者は観光、知人訪問、商談・会議などの短期商用であれば、ビザを取らずに最大90日(3か月)滞在できます。入国時に審査官が滞在目的と期間を確認し、許可された滞在期間がパスポートに記録されます。
重要なのは、この資格がマレーシア移民局の区分では「短期の社会訪問パス(Social Visit Pass)」にあたり、あくまで「訪問」のための資格だという点です。報酬を得る活動は認められず、宗教活動、調査研究、映画・テレビ撮影などは短期でもビザが必要とされています。
90日は「最大」であり、毎回必ず90日がもらえるという意味ではありません。審査官の判断で短い期間が記録される場合もあるため、入国後はパスポートの記録や入国記録を確認する習慣をつけてください。
まとめると、ビザなし滞在は「下見」や「短期の試住」には十分ですが、「移住」の手段にはなりません。この前提を押さえたうえで、以下の条件と注意点を確認してください(本記事の内容は2026年10月時点の情報です)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 滞在できる期間 | 最大90日(3か月)。許可日数は入国審査で決定 |
| 認められる目的 | 観光、知人・家族訪問、会議・商談などの短期商用 |
| 認められない活動 | 報酬を得る就労。宗教活動・調査研究・撮影等は短期でも要ビザ |
| パスポート | 入国時点で残存有効期間6か月以上 |
| 事前登録 | MDAC(デジタル入国カード)を到着3日前から登録。無料 |
| 延長 | 病気・事故・母国の戦乱など特別な事情に限り検討される |
入国前に必要な準備:パスポート残存6か月とMDAC登録
ビザは不要でも、入国にはいくつかの条件があります。まずパスポートは、入国時点で残存有効期間が6か月以上必要です。期限が近い場合は、渡航前に日本で更新しておいてください。
次に、MDAC(Malaysia Digital Arrival Card)の登録です。マレーシア移民局は2023年12月から外国人旅行者にデジタル入国カードの登録を求めており、2024年1月以降は事前登録が必須になっています。登録はマレーシア移民局の公式サイトから、到着日の3日前から行えます。氏名、生年月日、パスポート情報、メールアドレス、携帯電話番号、到着日・出発日などを入力します。
注意したいのが偽サイトです。MDACの登録は無料で、クレジットカード情報は求められません。「手数料」を名目にカード情報を入力させるサイトが確認されているとして、在マレーシア日本国大使館が注意を呼びかけています。検索結果の上位に出てくるサイトではなく、移民局の公式URL(imigresen-online.imi.gov.my)から登録してください。
なお、マレーシアの永住者や長期滞在パスの保有者、外交・公用旅券の保有者などは登録の対象外とされています。MM2Hや就労ビザなどで長期パスを持つようになれば、MDACは不要になります。
入国審査では、復路または第三国への航空券、滞在先、滞在費を賄える資金について質問されることがあります。特に片道航空券での入国は説明を求められやすいため、出国便の予約を用意しておくのが安全です。
空港の自動化ゲート:2回目以降は日本人も利用可能
クアラルンプール国際空港(KLIA)のターミナル1・2などでは、外国人旅行者向けの自動化ゲート(autogate)が導入されています。日本は2023年12月の運用開始時点から対象国に含まれており、その後対象国は63か国まで拡大されています。
ただし、初回の入国は有人カウンターでの審査が前提です。在マレーシア日本国大使館の案内によれば、初めてMDACを登録して入国する際に有人カウンターで指紋登録を済ませると、次回以降の出入国で自動化ゲートを利用できるようになります。
自動化ゲートを使うとパスポートに入国スタンプが押されない場合があります。スタンプが必要な場合(入国日を紙で証明したい場合など)は有人カウンターを利用してください。いずれの場合も、滞在期限は自分で記録し、管理するのが基本です。
90日を延長できるか:原則不可、特別な事情に限られる
ビザなしで入国した後に「もう少し滞在したい」と考える人は少なくありませんが、延長は原則として想定されていません。マレーシア移民局の案内では、短期社会訪問パスの延長は、病気、事故、母国での戦乱といった特別な事情がある場合に限って検討されるとされています。
延長を申請する場合も、事情を証明する書類(診断書など)と、母国または第三国への帰路航空券の提出が求められます。「観光をもう少し続けたい」「家探しが終わらない」といった理由で延長が認められることは期待しないでください。
したがって、90日を超える滞在が見込まれる場合は、入国前に長期滞在ビザの取得を計画しておく必要があります。どのビザが該当するかは、この記事の最後のセクションと『マレーシアのビザ一覧』の記事で整理しています。
オーバーステイの罰則:1日超過でも罰金の対象
許可された滞在期間を超えて滞在すると、マレーシア移民法(Immigration Act 1959/63)第15条違反になります。法律上の罰則は、RM10,000以上の罰金、5年以下の禁錮、またはその併科です。
2025年には運用が変わりました。在マレーシア日本国大使館の注意喚起(2025年11月)によると、マレーシア入国管理局は、90日以内の不法滞在について、裁判を経ずに罰金(コンパウンド)を科す制度を試験的に導入しています。金額は以下のとおりです。
「罰金を払えば済む」と考えるのは危険です。不法滞在や法令違反には、逮捕・拘束、滞在資格の取消し、国外退去、そして将来の入国禁止につながるリスクがあると大使館は警告しています。90日を超える超過や、繰り返しの超過は簡易な罰金処理の対象外とされ、移民局の執行部門での手続きになります。
帰国便の欠航や急病などでやむを得ず期限を超えそうな場合は、期限が来る前に移民局へ相談してください。超過してから動くより、選択肢がはるかに多く残ります。
| 超過日数 | 罰金額 | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| 1〜30日 | 1日あたりRM30 | 1日約1,170円(30日でRM900=約3.5万円) |
| 31〜60日 | RM1,000 | 約3.9万円 |
| 61〜90日 | RM2,000 | 約7.8万円 |
| 90日超・繰り返し等 | 簡易な罰金処理の対象外 | 法定刑はRM10,000以上の罰金または5年以下の禁錮 |
ビザラン(出国→再入国)はできるのか
90日の期限が来る前にシンガポールやタイへ出国し、再入国して新たな90日を得る行為は、一般に「ビザラン」と呼ばれます。結論から言えば、再入国そのものを禁止する明文の回数制限は確認できませんが、再入国が認められるかどうかは毎回、入国審査官の裁量です。
審査官が見ているのは「実態として住んでいないか」「働いていないか」です。出入国記録から短期間の出入国の繰り返しは一目でわかります。滞在目的や資金、帰国便について説明を求められ、合理的に説明できなければ、入国拒否や短い滞在期間の記録といった措置がとられる可能性があります。
マレーシア政府は近年、社会訪問パスの濫用への取り締まりを強めています。現地報道によれば、移民局による社会訪問パス関連の検挙は2023年の1,279件から2024年に2,644件へ倍増し、2025年も2,630件と高い水準でした。主な標的は観光目的で入国して働く外国人ですが、ビザなし滞在を長期居住の手段として使う行為への視線も厳しくなっていると考えるべきです。
ジョホールバルからシンガポールへの日帰りや週末旅行のように、通常の旅行の範囲で出入国すること自体は問題ありません。問題になるのは「マレーシアに生活の拠点があるのに、ビザなしの資格で居続けている」状態です。
| 使い方 | 想定される扱い | リスク |
|---|---|---|
| 観光・出張で年に数回訪問 | 通常の短期訪問 | 低い |
| 移住前の下見・1〜2か月の試住 | 目的を説明できれば通常の訪問 | 低い(復路便・資金を用意) |
| 90日ごとに周辺国へ出国して再入国 | 審査官の裁量で判断 | 中〜高(入国拒否・短期許可の可能性) |
| ビザなしでの現地就労・営業活動 | 社会訪問パスの濫用 | 高い(摘発・退去強制・入国禁止) |
ビザなしでできること・できないこと
ビザなし滞在で可能なのは、観光、知人訪問、会議や商談への参加、工場視察、契約の署名といった短期の訪問活動です。移住の下見として、住む予定のエリアを歩き、賃貸物件や学校を見学することもできます。
一方、現地企業での就労や、現地で報酬を受け取る活動はできません。子供を学校に正規入学させることもできず、そのためには学生パスが必要です。また、銀行口座の開設や長期の賃貸契約は、短期滞在の資格では断られたり条件が厳しくなったりするのが一般的です。
日本の会社に雇用されたまま、マレーシアからリモートで働くことの扱いは、制度上グレーな部分があります。マレーシアにはまさにそのためのDE Rantau(デジタルノマドパス)が用意されているため、継続的にリモートワークをするならDE Rantauを取得するのが確実です。
90日を超えて滞在したい場合の選択肢
90日では足りない場合、長期滞在の入口は大きく4つです。どれが該当するかは、目的と資産・収入でほぼ決まります。
働きたいなら就労ビザ(Employment Pass)です。2026年6月以降の申請から最低月給の基準が引き上げられており、詳しくは『マレーシアの就労ビザ』の記事で解説しています。資産があり働かずに住みたいならMM2Hで、定期預金はUSD建てです(『MM2Hとは』の記事を参照)。海外企業からのリモート収入があるならDE Rantau(『マレーシアのノマドビザ』の記事を参照)、語学学校や大学で学ぶなら学生パス(『マレーシア語学留学ガイド』の記事を参照)が入口になります。
4つを横並びで比較したい場合は『マレーシアのビザ一覧』の記事にまとめています。どれにも当てはまらない場合は、ビザなし90日を年に1〜2回、日本の生活基盤を残したまま使う「長期滞在の反復」が現実的な落としどころです。
| 目的 | 該当する資格 | 主な条件 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 現地で働く | 就労ビザ(Employment Pass) | 現地企業の雇用。カテゴリーIIIは月給RM5,000以上(2026年6月〜) | 雇用契約に連動 |
| 働かずに住む | MM2H | シルバーで定期預金USD150,000など | 階層により5〜20年 |
| 海外企業の仕事をリモートで | DE Rantau | 海外企業からの年収USD24,000以上(IT・デジタル職) | 3〜12か月+1回更新 |
| 学校で学ぶ | 学生パス | 認可校からの入学許可 | 就学期間 |
| 子供の就学に付き添う | ガーディアンパス | 子の学生パス+収入証明 | 子の就学期間 |
出典
- 外務省 海外安全ホームページ「マレーシア 入国・出国」
- 在マレーシア日本国大使館「マレーシア入国時のデジタル入国カード登録」
- 在マレーシア日本国大使館「自動化ゲートの外国人向け運用の開始」
- Jabatan Imigresen Malaysia「Pas Lawatan Sosial Jangka Pendek」
- Jabatan Imigresen Malaysia「Keperluan Visa Mengikut Negara」
- Jabatan Imigresen Malaysia(MDAC公式登録サイト)
- Jabatan Imigresen Malaysia(不法滞在の罰則・Immigration Act 1959/63)
- Malay Mail「Rise in social visit pass abuse triggers immigration crackdown」(2026年7月)
この記事を書いた人
Yuto Nishitaniラブアン法人代表
ラブアン法人代表。2025年10月にクアラルンプールへ単身で移住し、ラブアン法人の就労許可(Labuan EP)で暮らしています。ビザ・住まい・生活費を、移住した当事者として調べてきました。
よくある質問
日本人はマレーシアにビザなしで何日滞在できますか?
観光・知人訪問・短期商用が目的であれば、最大90日(3か月)です。許可される日数は入国審査で決まり、パスポートや入国記録に反映されます。入国時のパスポートの残存有効期間は6か月以上が必要です。
MDAC(デジタル入国カード)はいつまでに登録すればいいですか?
到着日の3日前から登録できます。マレーシア移民局の公式サイト(imigresen-online.imi.gov.my)から無料で登録でき、クレジットカード情報は不要です。手数料を請求する偽サイトが確認されているため、公式URLから登録してください。長期滞在パスの保有者などは対象外です。
90日の滞在期間は延長できますか?
原則できません。マレーシア移民局は、病気、事故、母国の戦乱など特別な事情がある場合に限って延長を検討するとしており、証明書類と帰路航空券の提出が求められます。90日を超える予定があるなら、入国前に長期滞在ビザを計画してください。
オーバーステイするとどうなりますか?
移民法違反となり、法定刑はRM10,000以上の罰金または5年以下の禁錮、またはその併科です。2025年からは90日以内の超過に対して、1〜30日は1日RM30、31〜60日はRM1,000、61〜90日はRM2,000の罰金を科す制度が試験導入されています。ただし国外退去や将来の入国禁止につながるリスクもあるため、1日でも超えないことが原則です。
シンガポールに出国して戻れば、また90日滞在できますか?
再入国のたびに新たな滞在期間が与えられる可能性はありますが、毎回審査官の裁量で判断されます。短期間の出入国を繰り返すと居住や就労を疑われ、入国拒否や短い滞在期間の記録といった措置がとられるおそれがあります。長期で住むなら就労ビザ、MM2H、DE Rantau、学生パスなどの長期滞在資格を取得してください。
自動化ゲートは日本人も使えますか?
使えます。日本は自動化ゲートの対象国です。ただし初回入国時は有人カウンターで審査と指紋登録を行い、2回目以降の出入国から自動化ゲートを利用できるのが基本です。自動化ゲートではパスポートにスタンプが押されない場合があるため、滞在期限は自分で管理してください。
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